また、その際に以下のような点に気をつけてください。
・身体のぬくもり、湿気を払うこと
・着用しわを取る
・布目に沿ってほこりを払う
・シミ汚れがないか調べる
<注意点>
数日かけておいても、着用しわが取れない場合は、汗等の湿気を多く含んでいるというサインです。
そんな時はクリーニング(丸洗い)に出してください。特に、汗取りクリーニングを指定された方が良いでしょう。湿気は後々にシミ・カビの原因になります。
昔の方は、着物をクリーニングに出すということをされていなかったので、古いお着物にはシミ・カビが残っていることが多いです。
しかし最近では、クリーニングの技術も発達しており、取れないシミ・カビはほぼ無いと言ってもよいくらいです。
ただし、掛ける手間によって金額は違って参ります。
ですから、早めに処置をしておくことが大切です。
[1]しまう前に、汚れを取り除く
(目立たなくても後が大変です。前述のとおり、シミ・カビの元になります)
[2]湿気を防ぐ
(湿気は絹の大敵です。黄ばみ・カビ・縮みの原因となります)
[3]虫喰いを防ぐ
(一度喰われてしまうと、かけつぎでも跡は消えません)
[4]間違ったたたみ方や重圧は禁物
(折ったり押さえつけたりは、箔・刺繍・絞りには御法度です。剥がれたり、せっかくの風合いが損なわれたりしてしまいます)
何はともあれ、湿気対策は万全に。
箪笥に入れっぱなしにして、久々に箪笥を開けてみると、大切なお着物に、シミ・カビ、変色していることがございませんか?
それらの多くは、着用後にしっかりと乾燥させてから仕舞わなかったことが原因です。
汗じみは、仕舞う時には見えなくても、時間が経つとその部分が変色してしまったりします。
当分着ることが無い場合は、一度丸洗いに出してから仕舞われる方が吉です。
それから、湿気の予防として、必ず乾燥剤を入れて仕舞ってください。
絶対とは申しませんが、絹は虫に喰われにくい、と言われています。
絹製品が一番恐れなければいけないのは、湿気です。
当店おすすめの乾燥剤「そうび」
こちらの乾燥剤「そうび」は、防虫・防カビ・除湿用となっており、ウールにも適しています。
着物の箪笥には乾燥剤、と、仕舞う際には心に念じるようにしてください。
古い乾燥剤は使わない!
お着物を入れ替える際に、新しい乾燥剤も足して、もともと入っていた古い乾燥剤もそのままにしておく、ということを、ついやってしまいがちです。
もったいない事とは思いますが、古い乾燥剤は必ず捨ててください。
メーカーが異なる乾燥剤同士の場合、化学反応を起こしてしまい、着物が焼けたり変色してしまったりということがございます。
実際にあったお話ですが、お客様のお着物で、シミが出ていたところを確認したところ、文庫紙(たとう紙)の上に着物のシミと同じ形のシミが出来ていた、ということがございました。
乾燥剤の二重使いが原因で出来た焼けシミが、お着物と文庫紙の両方についていたのです。
そのようなこともございますので、古い乾燥剤は使い続けないよう、お気を付けください、
文庫紙(たとう紙)に注目しましょう
着物の入替えの際には、着物が入っている文庫紙(たとう紙)をよくご覧になってください。
茶色になっていたり、変色していたりはしませんか?
それは、湿気によるシミ・カビです。
紙が湿気を十分に吸っており、そのまま放っておくと着物にシミが移ってしまいますので、これもお気を付けてください。
特に留袖・喪服は、着用機会も限られており、箪笥に眠っている事の方が多いと思います。
主なトラブルであるカビの発生原因の多くは、保管中に起こっています。
カビが発生する条件
一般的なカビの発生条件は、以下のようなものになります。
・温度
・湿度
・栄養分(汚れた繊維)
・酸素(酸素がないと生きれない好気性菌)
カビの確認方法
怪しいかな?と思ったら、以下をご確認ください。
[1] カビの臭いがする
[2] 白い粉のようなものがついている
[3] 胴裏や比翼地が黄色く変色している。(たとう紙の変色)
[4] 黄変が左右対象に打ち合いを起こしている。
発見後の処置について
カビがお着物の上に確認できるレベルの場合、カビのシミ抜き作業だけでは不十分と言えます。
程度にもよりますが、カビの臭いがする、白い粉が噴いている、というくらいなら、きもの専門店にお持ちになり、カビ取りクリーニングにより滅菌することで被害の拡大を防げます。
白いカビは払い取るだけで見た目にきれいになりますが、カビ菌を除去した訳ではない為、かならずといって再発生します。このため、カビの菌取り作業が必要となります。
しかし、カビが元で変色している場合、完璧にとることは難しい場合がございます。
今までの経験上、ある程度は落とせます。しかし生地の関係上「これ以上は無理」ということもございます。ですが殆ど分からないくらい迄は、お直しできます。見つけ次第対処をすることが大事です。
胴裏・比翼地の黄変がある場合は、表生地の変色の程度にもよりますが、薄ければカビを取り丸洗いをして進行を防いだ上で着用を続けるか、もしくは、洗い張りをして胴裏、比翼地の交換をして、染め替えという方法もございます。
カビは強酸性の菌の為カビのついた箇所のみ生地が劣化しており、濃く染まる傾向があります。(カビを除いた箇所の色抜けも強酸性菌によります)。
手間と金額に関係してきますので、当店では必ず京都の悉皆屋さんに送って見積もりを取り、お客様とどこまで直すかをご相談した上で作業に取り掛かるようにしております。
カビの発生しやすいもの(注意したい商品)
以下の商品は、カビの発生しやすいものになります。
・大島紬
・紬
・藍染商品
・胴裏
・比翼地
・帯全般
・帯芯
商品の良し悪しに関係なく、生地自身に張りを持たせる為に水溶性の糊を含ませる商品があります。
これらがカビの原因、いわば『呼び水』となり、湿気と混ざることで、カビの育成に適した環境となります。
上記に上げた商品管理には、特に湿気やシミ汚れへの対策が必要となります。又、紬等の先染め商品は、泥や草木染といった天然素材を用いて、酸化や醗酵によって染め上げられているため、菌の繁殖率は他の着物に比べ高くなります。
カビの予防策
[1] たとう紙に商品を一枚ずつ入れる(カビの拡大を防ぎます)
[2] シミが付いたままにしない(カビだけでなく虫の発生も促します)
[3] 定期的に、風通しや虫干しを行う。
最後の[3]については、たとう紙の交換も気にしてください。
たとう紙の見極めは、糊のついている紐の部分が変色していると替え時期のサインと思っておいてください。
虫干しが面倒くさい方へ
虫干しまでは……という方は、天気が良くカラッとしている日に、少し箪笥の引き出しを開けておくのも良いでしょう。
その時の注意点は「直射日光は避ける」事です。
重ねてですが、普段は乾燥剤を入れてしまわれておかれると尚良いかと思います。そしてなるべくこまめに換えてください。
また、交換する時には古い乾燥剤を出し、残留臭気が消えてから入れ替えるようにしてください。
滅多に使わない喪服・礼服ですが、急に必要になるのも喪服や礼服の常です。
いざ必要になった時に、「虫食いが……」「シミが……」と慌てないように、普段のお手入れを忘れないようにしてください。