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今回は、基本のお話をさせて頂きます。
私も呉服屋に嫁がないと分からなかったことが多いのが
この業界です。
例えば、「これは何の帯?どんな時に締めるの?」という具合に
お聞きになられます。
私も今ここにいなかったら同じことを聞いていただろうな。と
考えさせられます。
呉服業界も切磋琢磨して新しい物を生み出しているのに、寂しい
話です。しかし、聞いていただくだけ興味があると言うことだと
思います。話すらお聞きにならない方は、多分・・・・・・
聞くのが恥ずかしい。もしくは全く興味がないか。
どちらかと思います。
せめて、興味のある方には知っていてほしい初心者向けにお話を
していきます。ホントに基本ですので着物をお知りの方は少々退屈
と思いますが、ご勘弁下さいませ。
普段から着物を着慣れていない方にとって、着物をお召しになる時
というのは、結婚式・お葬式等ではないでしょうか。
それでは、袋帯と名古屋帯の違いからお話します。
[袋帯(二重太鼓)]
[名古屋帯(一重太鼓)]
「結婚式なんだけどどんな着物を着てどの帯を締めればいいのかしら。」
と質問された場合(よく聞かれます。)
ご友人の結婚式に出席する場合
結婚している女性の場合は訪問着が一般的ですね。
格上の方(部下の結婚式)でしたら色留をお召しになられる方も
いらっしゃいます。
実際、私共の結婚式に懇意にして頂いている先生の奥様は色留でした。
「着物なんて成人式の振袖以来だわ」という人ですと着物や帯の種類
等は分からないものです。
だからこそ、みなさんお聞きになるのです。恥ずかしくて聞きにくいわ
という方ご安心ください。結構な数の方がお聞きになられたり、確認を
されたりします。
・袋帯と名古屋帯の違い
「結婚式に着ていく訪問着に名古屋帯は大丈夫かしら?」と問われたら
袋帯とは、礼装の丸帯の代わりとして明治時代後期に作られたものです。
丸帯は高価で重くて締めにくいために軽くて二重太鼓ができる袋帯が作
られたのです。詳しくはこちらより
名古屋帯は、大正時代に名古屋の女学校の先生が考案し、昭和初期にか
けて開発されたといわれています。袋帯は二重太鼓にしなければならない
為に長い帯である必要があり、一重太鼓にすると時間も節約し生地も節約
できるので袋帯よりお安くできる為です。詳しくはこちらより
・長さの違い
袋帯の方が名古屋帯よりも60~70cm以上長くいです。(二重太鼓にするか否か)
- 袋帯→4m~4m30cm程度
- 名古屋帯→3m60cm程度(仕立てる前の長さは4m73cm程度)
[袋帯(二重太鼓)]
[名古屋帯(一重太鼓)]
・結び方の違い
長さが違うため、結び方も違ってきます。
- 袋帯は、二重太鼓ができます。
- 名古屋帯は、一重太鼓しかできませんが、その分、軽くて締めやすいです。
※お太鼓の四角い部分が二重になることを「二重太鼓」と言います。
・それぞれの帯の用途
結び方が違うため、使う場面も違ってきます。
二重太鼓は、おめでたいお席で、それは喜びが何回あっても良い場面
いわゆる「喜びが重なるように」という意味があり
一重太鼓は、不幸があった場面のお席で「重ならないように」の意味が
ございます。
このことから、現在では、
- 結婚式などのおめでたい場面では袋帯を使います。
- 葬儀などの不幸があった時の喪服の帯は一重の名古屋帯になっています。
喪服は、五つ紋が付いていて正装ですが、「喪」と言うことで帯は必ず
一重の黒共名古屋帯となっています。
簡単に言えばそうなのですが、
ただ、この通説は戦後の一般であり、それ以前に作られた喪服については
丸帯や袋帯というのが一般的でした。黒の名古屋帯が喪の場面になったのは、縁起ということもありますが、どち
らかというと、袋帯よりも名古屋帯の方が葬儀の場面で急いで着付けがしや
すいので二重太鼓よりも一重太鼓の方を好むようになりました。
・結婚式にお薦めの袋帯
[加納幸謹製]
フォーマルの袋帯で訪問着、付け下げ、無地等にお締め頂けます。
黒留袖にもお締め頂けますので重宝する袋帯です。
[いづくら謹製]
こちらも留袖・色留袖・訪問着・付け下げ・無地にお締め頂けます。
柄行から言ってご年配のお方にお薦めです。
[藤原織物謹製]
こちらは、若い方にお薦めで20代から40代の方の訪問着や付け下げ
色無地、留袖や色留袖にお締め頂けます。
一般的に言われているのが
袋帯は、フォーマルで、名古屋帯は、セミフォーマルにお締め頂く
これは、帯結びについて(振袖の変わり結びを除けば)二重太鼓の方が
一重太鼓よりも格が高いとされていて、当然、礼装は二重太鼓となって
いるからです。ただし袋帯でもカジュアルな柄ものが多く作られていて、
袋帯だからといってすべてがフォーマルかというと、そうでもありません。
逆に名古屋帯も金銀紙を使って格の高い帯も多々ございます。
[となみ織物謹製・名古屋帯]
[白綾苑大庭謹製・名古屋帯]
・合わせる着物について
格が違うことから、合わせる着物も違ってきます。
袋帯
礼装として、振袖、留袖、訪問着、付け下げ等に使います。
ただし、金糸銀糸が控えめなものや色糸だけの袋帯はお洒落着用で紬や小紋、
江戸小紋、付け下げ、色無地に使います。
名古屋帯
準礼装として付け下げ、色無地、江戸小紋等(金糸銀糸を使う場合)。
お洒落着として小紋や紬などに使います。
・結婚式には袋帯と名古屋帯のどっち?
結婚式では古典柄の訪問着に金糸銀糸を使った華やかな袋帯(二重太鼓)にして、
帯揚げや帯締めも白系や淡いお色でまとめると上品になります。
しかし絶対に「名古屋帯では駄目」とか「二重太鼓にしなければならない」
ということではございません。
格の高い訪問着ですとこちらの袋帯をお薦めします。
[山口美術織物謹製]
[となみ織物謹製]
着物に慣れていない方には結婚式にその帯が相応しいかどうか。
という判断は難しいのでお知り合いの呉服屋さんにお聞きするのが一番
ですが、お知り合いの呉服屋さんがいらっしゃらなかったら、着物の詳
しい方にお聞きしてみて下さい。
今回の基本を頭に入れておくと、分かりやすくなると思います。
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