◇【今更聞けない着物の知識】 ~八掛編~
八掛と言うと大体の方がお分かりになられます。
最近はお客様の方が知識が豊富な場合がございます。ならば我々呉服屋は、
今以上に知識を増やし、それをお客様に提供していかなくてはなりません。
たまに、八掛はどれにされますか?とお聞きすると『八掛って何?』と
答えられます。きものでの生活環境になっていないのでそれも仕方のない
ことかもしれません。ならば、私共呉服屋が売るばかりでなく 必要な知識を
お教えする・・・それが大切なのではないでしょうか。
補足ですが、「何故八掛と言うのか。」それは、八掛の八は、衽(おくみ)、
前身ごろ、後ろ身ごろ、袖口にそれぞれ左右二枚ずつ、合計八枚に裁った所
から付けられた名称です。最近は、衿先にも同じ布を用いるようになったの
で現在は十枚裁ちです。並み幅で約4メートル10センチ裾回しという言い方
をされる方もいらっしゃいます。
ちょっとしたことですが、知識として知っておいて頂きたい。そう思います。
そんな事は常識よと お叱りを受けるかもしれませんが「知りたくても聞くの
が恥ずかしい。」「どう聞けばいいか分からない。」等々と思われている方も
いらっしゃいます。聞きたいことがあれば遠慮なく聞いていただける、そんな
雰囲気のお店にしたいと思っております。
◇お薦め名古屋帯と小紋
九寸名古屋帯(西陣織)【藤原織物謹製】「紹巴 ぶどう笹蔓文 六通」
お茶席・お稽古・観劇・お食事会にそうぞ
綺麗なターコイズブルー色の名古屋帯です。どんな着物に合せたら
いいのか分からないとおっしゃられる方が多いです。
光の加減で左が明るく映っていますがどちらかというと右に近い
発色となっております。
「紋意匠にとび柄華文」こちらの小紋に合わせると上品な感じにな
ります。
こちらは、東京染め小紋の「貞子好み」よりの見本帳から“むらたや”が
生地を指定して染めて頂いた小紋です。単衣にされても良い雰囲気のお色で
画像よりはるかにいい感じです。
こんな感じの小紋で合わせてターコイズブルーの名古屋帯をお締め頂くと
おしゃれに決まります。帯締めと帯揚げを工夫するともっといい感じになります。
これらの小紋ですとしゃれ袋をお締め頂いてもいいです。
例えば、
染匠 市川純一郎作【染匠いち川謹製】「網野織・裏地も純一郎オリジナル」
「ちょっと控えめだけど、目立たずして目立つ」を目指していらっしゃいます。又、「主人公は着る方。我々の仕事は脇役で、お客さまがどう素敵に見えるかが
大事なんです。」その思いで作られた帯がこちらになります。
西陣織袋帯【加納幸謹製】「華文平」
こげ茶色の生地に上品な華文を形・大きさを変えてバランスよく位置してあり、
派手ではなく、控えめな色彩が上の小紋とメリハリがつき良い感じになると
思います。